羅臼岳〜岩尾別コース 1660.2メートル
                                                                2004. 8.28  


コースタイム(休憩時間を含む)

登山日 2004年08月28日
登山口 06:10 オホーツク展望台 06:42 弥三吉水 07:29 極楽平 07:36 銀冷水 08:16 大沢 08:30
 羅臼平 09:15 山頂 10:20
   『登り 4時間10分』
山頂 10:30 石清水下10:40〜昼食〜 石清水下 11:30
羅臼平 12:00 大沢 12:40  銀冷水 12:49 弥三吉水13:27 オホーツク展望台 13:55 登山口 14:20
   『下り 3時間(昼食時間を除く)』
【ひとくちメモ】
 登山道は、最初から比較的急な登りで、オホーツク展望台まではジグを切って登っていきます。 急といっても気持ちの良い樹林帯を歩くので、
快調に登ることが出来ます。
 途中から「熊出没」の看板が多く見られます。 特にオホーツク展望台の先の蟻の巣が多い場所に熊が出没しているようなので、十分注意してください。
 残雪期(8月中旬まで)の大沢には雪渓が残っていますので、念のため軽アイゼン等の装備があったほうが安心です。

 昨年9月に一度チャレンジしている羅臼岳ですが、昨年は台風の影響で天候が途中で悪化のため大沢であえなく撤退。 今回は道東で山仲間の集まりが開催される事となり、この機会を利用しての再チャレンジとなりました。
 天気予報では、この週末は台風が近づいているものの、安定した高気圧に覆われて、絶好の好天が続くとの予報です。札幌を出発して北見までは青空が広がり、途中の大雪山も雲一つ無い稜線が青空をバックに輝いていましたが、北見から斜里にかけては黒い雲が広がり、今晩の宿泊地となる木下小屋に付く頃には雨となってしまいました。 夕方から雨は更に雨足を強め、真夜中から早朝にかけて小屋のトタン屋根に激しく音を立てて雨が降り注いでいます。
 早朝、半ばあきらめかけて起き出すと、雨は小降りとなり空が少しずつ明るくなってきました。 天気予報では「引き続き高気圧に覆われている」とのことで、とりあえず急いで朝食を済ませて山頂を目指すこととして出発します。

 


 登山口では、沢山の登山者が次々と出発していきます。 今朝は既に20人以上の登山者が入山しているようです。雨も止んだので、早速我々も出発します。 登山口の先のお宮にお参りし、しばらく行くと昨年には無かった登山者をカウントする赤外線センサーが設置されていました。 大雪山に設置されたのは聞いていましたが、実物を見るのは初めてです。
 昨年辿った登山道を思い起こしながら急斜面にジグを切った登山道を登って行きます。登山道は、最近世界遺産認定のための視察があったせいか、非常に良く整備されており、要所には土嚢が積まれて歩きやすくなっていました。 雨上がりにもかかわらず滑りにくく、歩きやすい登山道をオホーツク展望台を経て極楽平まで順調に登っていきます。
 お天気は相変わらずどんよりとした雲に覆われて、時折薄いガスに包まれるというイマイチのお天気ですが、高度が上がるに従って明るくなってきました。


 銀冷水を過ぎ、いよいよ昨年引き返したポイント大沢入り口です。 昨年は濃いガスで見ることが出来なかった急斜面の沢がド〜ンと立ちはだかっています。 沢の最上部は薄い雲に隠れていますが、風もなく、何とか登って行けそうです。
 沢を登り始めてすぐに登山者が立ち止まっているので何かと見ると、大きく立派な角を持った二頭のエゾシカが登山道の上で悠々と草を食べています。 大きな角で突かれたらひとたまりもないのでしばらく様子を見ていると、年配の登山者がシカを威嚇し、シカは渋々登山道から移動して行きました。
 大沢には流石にこの季節には残雪は残っていなく、お花もキキョウを除いては殆ど咲いていませんでした。 2週間程前に登った知人の話では、その時には残雪が残っていたとの事で、全く雪が無いのはこの季節だけのようです。 大沢の最上部にさしかかると、急に青空が広まり、急速にガスが引いて行きます。 眩しい太陽と青い空が見えて思わず「やったーっ」と叫んでしまいました。



 大沢を登り切ると前方右に目指す山頂が見えています。 以前NHKで放送していた「中高年の登山教室」で山頂を見ていましたが実際に見てみると予想以上に山頂が大きな岩で覆われています。 「岩」が苦手な私にとっては、あまりありがたくない風景です。 ガイドブックによっては、「かなり危険」とか「山頂で立ち上がれない」とかの記述もあり、不安が少し持ち上がって来ます。
 気を取り直し、雲が掛からないうちにと、急いで山頂や、硫黄山方向の写真を撮りまくります。 やがて意外とあっけなく平坦な羅臼平に到着です。



 木下小屋で出会った登山者によると、昨日の羅臼平は立っていることが出来ない程の強風だったとのことですが、今日は青空が広がり、殆ど「無風」という絶好の状態でした。 これも「普段の行いが良いおかげ」と密かに自己満足しつつ、見事な雲海の広がる素晴らしい風景を堪能しながら進みます。
 羅臼平では沢山の登山者が思い思いの場所で寛いで休憩しています。 今日は羅臼平のテント場にはテントも無く、縦走装備の登山者も今日は居ないようです。
山頂への縦走路には知床名物?!となった「フードボックス」が設置してありました。 中を覗いたところ、山頂を目指した先客のザックが沢山詰まっていました。



 やがて、羅臼方面と山頂へ至る分岐にさしかかります。 このころになって急に足に力が入らなくなってしまいました。 完調ではないお腹の具合を心配して行動食を取っていなかったため、いわゆる「シャリバテ」となってしまったようです。 急いで行動食を摂りましたが回復にはしばらく時間がかかりそうなので、ここからはペースを落として、ゆっくりと登ることとします。
 ハイマツの中をゆっくりと登っていくと徐々に岩が多くなり、名物の「石清水」に到着します。 普段はあまり水量が多くないようですが、昨夜の雨の影響か沢山の水が筋となって流れ落ちています。 冷たくて美味しそうな水ですが、よく見ると若干色が付いているので、今回は飲まずに顔を洗う程度で我慢しました。



 石清水を過ぎると本格的な岩登りとなりました。 初めは小さな岩が多かったのですが、次第に大きな岩が山頂から一気に崩壊したような急な岩の斜面となります。 手足を総動員しながら登りますが、結構コース取りが難しい箇所もあり、岩に残されたペンキを頼りに慎重に登って行きます。
 山頂直下は、かなり危険な部分が多くなり、一歩間違えるとかなりの距離を滑落してしまいそうな場所もあるので、三点確保しながらおっかなびっくり登っていきます。 高所恐怖症と闘いつつ、ようやく山頂到着です。



 山頂には既に沢山の登山者が居て、素晴らしい景色を堪能しています。 次々と登ってくる登山者の合間を縫って何とか山頂での記念写真の撮影に成功です。 本来なら山頂で昼食と恒例の山頂ビールの予定でしたが、精神衛生上?!良くないので、ひとまず下山し、景色の良いポイントで昼食とすることにしました。
石清水の下の広場で、全方に広がる硫黄山方向の絶景と雲海を楽しみながら、山頂ビールで乾杯です。 素晴らしい展望と天気もあいまって、1時間近く寛いでしまいました。

 登山口では天候に不安もありましたが、山頂付近は見事なお天気と展望に恵まれて、札幌から450キロのドライブをして辿り着いた甲斐がありました。今年の真夏を締めくくる素晴らしい山行となりました。

羅臼岳GPSトラック





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