黒岳〜北鎮岳〜比布岳〜永山岳〜愛山渓縦走
                                                                2004. 9.12  


コースタイム(休憩時間を含む)

登山日 2004年09月12日
黒岳七合目 06:35 黒岳 06:42 黒岳石室  08:20 北鎮分岐 09:46 北鎮岳山頂 10:20 
 北鎮岳山頂 11:10 比布岳 12:13 永山分岐 12:54 安足間岳 13:00 永山岳 13:38 愛山渓温泉 16:35
   『行動時間 10時間 移動距離15.7キロ』
【ひとくちメモ】
 この縦走は、距離が長いので黒岳のロープウェイーは出来るだけ午前6時の始発に乗ることをお薦めします。 早く行って並ばないと始発に乗れない場合も
あります。 特に、日没の早い秋は明るいうちに愛山渓温泉に到着できるように、計画を立てましょう。
 コースの前半は、表大雪の「銀座」を歩くこととなりますが、北海道で最も標高の高い場所を歩くこととなるので、急激な気温の低下や、天候の変化に対応
出来る装備が必要です。
 コースの後半の永山岳から愛山渓温泉の登山道は、濡れていたり、ぬかるんでいたりと状態が悪い場合があるので注意しましょう。 村雨ノ滝周辺にロープ
場がありますが、注意して通過すれば、心配はありません。
 


 以前から、「何時かは行きたいね〜」と計画していた黒岳〜愛山渓温泉への表大雪の縦走ですが、幸いにも同じ山中間のFさん、Aさん、そしてMさんという同行者を得て実現の運びとなりました。
 数日前に北海道を襲った台風18号の影響が心配されましたが、登山の前日までに愛山渓温泉に至る林道も復旧作業が終了し、通行可能となりました。
 今回は、自動車2台を使い、前日に下山口となる愛山渓温泉に車を一台駐車しました。 以前は路線バスが運行されていましたが、現在は自家用車かタクシーしか交通手段がありません。



 しばらくぶりの黒岳から表大雪へのアプローチです。 午前4時30分起床、午前5時に層雲峡オートキャンプ場(旧青少年旅行村)を出発します。 5時20分にロープウェー駅に到着しましたが、既に駅舎の周辺には、チラホラと登山者の姿が見えています。
 紅葉シーズンのこの時期、大人数の団体客で始発に乗れないのではと心配しましたが、今日は個人のお客さんが大部分を占めるようです。 定員満員で予定より10分早く出発したロープウエイーと、リフトを乗り継ぎ、七合目駅に到着したのは午前6時30分。 
 駅から見渡せる北大雪、北見、阿寒方面の絶景をしばらく楽しんだ後、最終的な身支度を調えて出発します。 登山道は、鈴なりの登山者が長い列を作っています。 ゆっくりとしたペースで、登山道周辺の紅葉を楽しみながら登って行きます。
 数日前の台風の影響で、葉が全て飛んでしまい、紅葉はもうダメとの情報がありましたが、結構葉も残っていて綺麗な紅葉が楽しめました。



 今日は、晴天で風もなく、気温も例年より高めということもあって、歩き始めてすぐじんわりと汗ばんで来ます。 すぐにアウターを脱いで半袖になりましたが、全く寒くありません。  紅葉を楽しみながら快調に登っていくと、やがて黒岳名物の「招き岩」が見えてきました。 招き岩周辺の紅葉は、見事に色づいていて素晴らしい眺めでした。 招き岩に別れを告げ、ジクを切りながら急斜面を登り、最後の岩壁をよじ登ると黒岳山頂です。
 しばらくぶりの「お鉢」の姿が目にど〜んと飛び込んできます。 既に沢山の登山者で賑わう黒岳で暫く休憩し、遠くにそびえる北鎮岳を目指し、黒岳石室への斜面を降りていきます。



 黒岳石室には、テント数張りがあり、昨夜からの泊まり客らしい人や、今朝下から登って来た人で賑わっています。 昔トイレがあった近くに話題のバイオトイレが設置されていました。  ログハウス風の洒落た作りで、まるで別荘のような佇まいです。
 早速使用してみましたが、使用後きちんと自転車を漕いで「攪拌」しない人が多いらしく、結構臭いが気になりました。 きちんと使用しないと、せっかくの施設が生かされないのですが.............。  もちろん、使用料はしっかりと払いましたよ〜。 しかも少し多めに (^^ゞ



 石室を出発し、なだらかな傾斜が広がる大地を進みます。 ウラシマツツジの紅葉は、色は赤く変わっていますが、先日の台風の影響か、数日前の低温の影響か、葉が縮んでチリチリになっており、艶がありません。 今年は、多分このまま紅葉は終わりとなりそうです。
 やがて前方に大雪山の「お鉢」が広がり、北海道の最高峰旭岳の勇姿が見えてきました。 平坦な大地に別れを告げて、旭岳に続いて、北海道第二位の標高を誇る北鎮岳への急な登りに入ります。
 北鎮岳分岐までの急なザレ場をゆっくりと登り、ようやく北鎮岳山頂に到着です。



 北鎮岳山頂からは、これから向かう鋸岳、比布岳、安足間岳の稜線がくっきりと見えており、山肌には斜面を切り裂くように登山道が見えています。
比布岳から愛別岳へ至る稜線は、遠くから見ても細く切り立っていて、高所恐怖症の虫がうずきます。 細く険しい釣り尾根で有名な愛別岳は比布岳の影に隠れてここからは見えないようです。
 北鎮岳から岩の多い比較的急な斜面を下り降り、比布岳山頂を目指します。



 表大雪も今までは「銀座」状態でしたが、流石に北鎮岳を越えると静かで、人影も殆どありません。 今までの山頂の喧噪?!が嘘のように静寂感が漂います。
 登山道は、やがて鋸山の斜面をトラバースするように延びています。 鋸山は、その名のとおりゴジラの背中のような奇岩が青空に突き出ています。 鋸岳周辺斜面は、植物があまり多くなく、岩が多い地形ですが、斜面の所々には、ウラシマツヅジが見事な赤い紅葉を見せています。
 比布岳への登りは、北鎮岳山頂から眺めて想像していたより急で結構な距離がありました。



 きつい岩だらけの斜面を登り切ると、比布岳山頂です。 山頂には昼食を取る5〜6人の登山者で賑わっていました。 皆さん、黒岳を出発して愛別岳へ登り引き返してきたそうです。   愛別岳へのアプローチの様子を聞くと、下る最初は相当恐ろしいが、一端下り始めるとさほどでは無いとのこと。 「でも、結構怖いよ〜」とのこと。 この言葉を聞いて、愛別岳は、私には縁のない山となるな〜と実感しました。
 比布岳から見る愛別岳分岐への稜線は、北鎮岳から眺めて想像したとおり、登山道の向こう側の斜面が下へ鋭く落ち込んでいて、かなりの迫力です。 強風の際は十分な注意が必要と思われます。



 やがて、核心部のやせ尾根を通過します。 登山道は火山灰でズルズルと滑りやすく、しかも切れ込んだ崖に近いところに登山道があるので、否応なく切れ込んだ斜面の下が見えてしまいます。 尾根の中央部には小さな愛別岳への標識があり、標識から恐る恐る下を覗くと、滑りやすそうな火山灰の急斜面に、かすかに登山靴でキックを入れたような踏み跡が見えます。 油断して足を滑らせると、滑落するのは必至と思わせる急斜面です。
 自然と歩くスピードが速くなり、永山岳への分岐に一気に到着してしまいました。 永山岳分岐で後続の到着を待ち、荷物をデポして北海道第5位の標高を誇る安足間岳へ向かいます。 安足間岳は、永山分岐からは5〜6分程度の距離にあり、山頂は平坦で当麻乗越し方面の方向を示す標識しかない寂しい山頂です。 以前は山頂標識があったそうですが、今は何もありません



 安足間岳を出発し、永山岳へ急ぎます。 愛山渓温泉までは休憩時間を入れて9時間程度と計画していましたが、あまりのお天気の良さと、素晴らしい眺望を堪能しすぎて少し予定時間より遅くなってしまっていました。 このままのペースでは日没時間に間に合わない可能性が出で来てしまいました。 急いだおかげで程なく今回の縦走の最後のピーク永山岳に到着です。 改めて見ると、愛別岳の切り立った姿が目の前に迫ってきます。
 永山岳以降は、登りはほとんど無く、愛山渓に向かって一気に下っていきます。 銀明水を過ぎると美しい沼ノ原の湖沼群が目の前に一気に広がります。



 銀明水から先は、次第に登山道が湿ってきて岩も多くなり、悪名高き「悪路」が始まります。 岩が大きく濡れているので、とにかく歩きにくく、今までのペースが一気に落ちてしまいます。 両側から笹も張り出していて、辛い単調な下りが続きます。 近くに川の流れの音が聞こえると、ようやく滝ノ上の分岐です。 分岐から先は、渓流の沢沿いの道を「村雨ノ滝」、「昇天ノ滝」そして美しい渓流を眺めながらの下りとなります。 村雨ノ滝周辺にはロープ場となっているところがあり、岩も濡れているので注意が必要です。 昇天ノ滝周辺でも、登山道が一部崩壊している場所があるので、注意して通過する必要があります。
 その後、穏やかな道を下っていくと、三十三曲がり方面との分岐と合流し、やがて目指す愛山渓温泉に到着です。

 今回の縦走は、ガイドブックによると「初級」ということで、比較的楽に歩き通せるかと想像していましたが、水平移動距離約16キロ、休憩を入れた行動時間約10時間とハードな山行となりました。
 愛山渓温泉で汗を流した後は、全員睡魔に襲われ、フラフラの状態でしたが、これ以上望めない素晴らしいお天気に恵まれ、素晴らしい表大雪の縦走となりました。

縦走路GPSトラック





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