小鉾岳 791.6メートル
      2000.11.25   2003.11.29再訪     
登山口 10:35
小鉾岳山頂 12:05
小鉾岳山頂 12:45
登山口 13:45

  登山の前日の夜は、八雲町のBAさんの超豪華営別荘で北海道山ML道南支部の雄鉾岳オフミ登山会反省会及び忘年会を盛大に実施した。当日仕事の都合で函館出発が7時過ぎとなり、宴会で盛り上がっている別荘へ途中からの「参戦」となった。山の話に盛り上がり、前回の雄鉾岳同様みんな飲むわ飲むわ。 結局、宴会の終了は12時を回って午前2時を過ぎてしまった。快く別荘を提供して下さったBAさん本当にありがとうございました。
 昨日の宴会の結果、当然ほとんど全員が二日酔い状態。 これで天気が悪ければ「今日は天気が悪いから中止だよね?!」ということになるのだが、外は風もなく青空が広がるこれ以上ない「登山日和」。 全員何も言わず、もそもそと準備を始める。そこで、思わず一言つぶやいてしまった。「今日本当に登るんですよね??」 みんな黙って頷く。 えいもう、吐いてでも登るぞ!!
落部小学校に車を駐車させてもらい、私の車に全員が乗り込み、小鉾岳に向かう。道の途中から、ゴジラの背骨のような頂上付近が、青空にそそり立っている。 道道573号野田生桜野線を桜野温泉を過ぎ、大きな農場の先のゲートの手前から右折する。以前は入山届けを記入するボックスと登山口を示す標識があったそうだが現在は支柱を残すのみとなっているので見逃さないように注意が必要である。 入り口から道沿いに進むと広い牧草地の中の針葉樹の防風林に到着する。 防風林に沿って真っ直ぐ進むと途中に左折する交差点があり真っ直ぐ行きたい気持ちを抑えて左折すると広い牧草地にたどり着く。この先に更に林道が延びているが、すぐ先が登山口となっているので、ここに駐車した方が賢明と思われる。 今回のメンバーは、隊長のSakguさん、Yさん、Nori御夫婦、そして私の5名で、牧草地でそれぞれ支度を済ませる。全員防寒対策をしており、隊長のSakguさんは、お気に入りの長靴姿で他のメンバーは登山靴。(全員一応軽アイゼン持参とのこと。)
 登山口には、一応小さな標識があり、いきなり急な法面となっていて、昨夜からの冷え込みでうっすらと凍り付いている。慎重に登り始めるが、隊長のSakguさんがいきなり滑ってしりもちをついてしまう。 その後も、次々と土の表面が凍り付いている急な登りが続き、一事は治まっていた「二日酔い」がどんどん復活してくる。 心拍数が上がって、血流が増えたため再度、血中アルコール濃度が増えたためか、肝臓の糖分がアセトアルデヒドの分解に使われて少なくなっているにもかかわらず、急な登りでさらに糖分の消費が進み、アセトアルデヒドの分解が阻害されている為であろうか。 などと、よけいなことを考えているうちにやがて両側が切れ落ちた細い尾根歩きとなる。下はけっこう急な斜面となっており、高所恐怖症クラブ会員にとっては、少々お尻がむずむずしてしまう。 登山道の両側には、道南地区でしか見ることの出来ない、ブナの林が続いていている。 新緑の頃も素晴らしいに違いないが、すっかり葉を落としたブナの林も墨絵のようで、美しいものである。
 何処までも、続く辛い登りで高度が上がってくると、登山道の積雪が増え始め、途中から約20センチ近い積雪のラッセルとなる。手稲山等での春先の「腐った」雪の経験はあるが新雪のラッセルは初めての経験である。雪は程良い堅さで、かえってとても歩きやすく、二日酔い登山隊にはかえって恵みの雪となった。登山の途中からかなり大きな「先客」と思われる足跡か現れた。 足跡から見て、かなり大きな「先客」ヒグマの足跡である。 登山道の上を導くように続いているが、数日前の足跡のようで緊急の危険はなさそうだが、登山道を歩くヒグマは危険??との説もあり、単独行なら絶対引き返していたところだ。 しばらく続いていた足跡は、いつのまにか消えていた。
 やがて、登山道の右側に例のゴジラの背中のような、険しい頂上が見えてくる。 さらに進むと、頂上下の険しいコルへ出る。 コルに向かう尾根は、両側がスッパリと切れ落ちており、しかも尾根道一番狭い所は、わずか30センチ程の狭さである。 ガイドブックを見るとロープが張られていることになっているが、今は影も形もなくなっている。 高所恐怖症を必死で克服しつつ、ようやくコルの下にたどり着くと、今度は完全に凍り付いている最後の急な登りが待ちかまえている。 思わず、こんな所本当に登るの?とつぶやいてしまう。 木の根っこや笹に必死に掴まりながら登り詰めるとようやく頂上に到着。 三角点が設置してある頂上と、そのすぐ先にゴジラの背中のような岩をバックに記念写真の撮影が可能な場所に新しい「小鉾岳」の標識が設置されていた。 山頂には青空が広がっていて、風も無く素晴らしい展望が広がっている。すぐ横には砂蘭部岳、さらにその先には狩場山、遊楽部岳、雄鉾岳の頂上が見えている。 さらに噴火湾方面には白い噴煙を吹き上げる白い駒ケ岳、さらにその先にはうっすら横津岳も見えている。
 全員で記念写真を取り合い、ゆっくりと昼食を取る。 隊長のSakguさんがビールを空けたが、さすがに二日酔いのダメージが大きいと見えて、誰もまともに飲むことが出来ない。 普通なら奪い合って飲むのに......。 12時45分に下山を開始。 程良い堅さの雪のおかげで、下りはまさに飛ぶような早さでの楽しく快適な下りとなる。 あんな辛かった登りを、僅か約1時間で下って登山口に到着。 その後、桜野温泉・熊嶺荘に入浴して帰宅。

今回の登山での教訓
1.飲んだら、登るな?!



登山口 10:30
小鉾岳山頂 11:42
小鉾岳山頂 12:20
登山口 13:10


小 鉾 岳 補 足



 3年ぶりに小鉾岳を再訪しました。今回のメンバーは、Kさん、さくらさんのレギュラーコンビと、さくらさんの親友で、函館在住のリンダさんです。 朝札幌を出発して、高速をとばすこと約3時間で、リンダさんとの待ち合わせ場所の八雲町野田生に到着です。
 野田生から桜野温泉を経由して登山口へ行く道は、相変わらず舗装道路から林道への分岐、そして林道に入ってから登山口へ至る道が標識が全く無いためにわかりにくい。 今回は冬季に訪れたためか、冬季閉鎖のゲート手前で「通行止め」の表示があり、さらにわかりにくくなっている。 登山道に至る分岐は、「冬季閉鎖用のゲート手前を右折」 → 「林道の分岐を左折」 → 「一直線に植えられた松林」 → 「松林の中を直進」 → 「林の途中の最初の分岐を直角に左」 → 「広い牧草地が見えたらOK (^^)」 → 「牧草地の隅に駐車」 → 「牧草地から少し林道を登った先が登山口」 となっています。
今回は、3年前より遅い季節に訪れていますが、前回より雪が少なく、山頂付近でも10センチ程の雪しかありませんでした。 登山道の両脇に密生している「笹」は、最近登山道の整備をしたらしく、綺麗に狩払われており、問題なく登ることが出来ました。
 前回恐怖を味わった、山頂付近の痩せ尾根は、何故か3年前より幅が広くなっており、さほど「恐怖」を感じることなく通過出来ましたが、痩せ尾根に通じる登山道脇の斜面が、大きく崩落してきており、将来登山道が削られてしまうのは時間の問題となりそうです。
 今回再訪した感想は、標高が低く歩行距離も片道2.5キロと短いですが、スパイスが程良く利いた「美味しい山」という感想です。
 ガイドブックによると「熊の密度が高い生息地」と紹介されていますが、桜野温泉・熊嶺荘の女将さんによると、今年も10頭近くの熊が「採れた」そうで、一番大きな熊は350キロ近くあって、普通のクレーンではつり上げる事が出来なかったとか。 熊には十分の注意が必要のようです。



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