雄鉾岳 999.3メートル
                                                                                 2000.10.30
2003.10.05再訪
駐車場登山口 7:30
雄鉾沢出会い 8:10
水場 9:10
ルンゼ登り口10:00
雄鉾岳山頂11:10
雄鉾岳山頂11:40
ルンゼ登り口12:10
水場13:00
雄鉾沢出会い14:10
駐車場登山口14:50

 基本的には、一人歩きの多い山登りだが、今回は所属している北海道の山MLの温泉1泊宴会付き道南オフミに参加への参加となった。複数での登山は何年ぶりであろう。
 登山の前日の夜は、八雲町営「小牧荘」を貸し切り、大宴会となった。一応道南地区での開催ということで、道南在住のメンバーが中心となり準備を行った。八雲町内でビール、ワイン、ウイスキー、酒、焼酎と、こんなには絶対飲みきれないであろうと思われる酒を買いだし、車の荷台を一杯にして宴会に臨んだが、いざ宴会が始まると参加者が更に差し入れた酒も含めて、翌朝にはほとんど参加者の体内に消えてしまったいったいこの人達の「体」はどういう構造になっているのだろう???
 翌朝は、山の中だけあってさすがに冷え込んでいて、車のウインドガラスが完全に凍結している。小牧荘前で参加者全員で記念写真を撮影し、車に分乗して登山口に向かうが、昨日のあの宴会の後にもかかわらず「二日酔い」と思われる人は僅かのようだ。あれだけのアルコールが完全に消えたのだとしたら、さぞかし小牧荘周辺の空気のアルコール濃度は高いに違いない。
 
登山口から少しの間は、樹林帯の歩きやすい登山道となっているが、約15分で最初の難関ロープ場にさしかかる。下がスッパリと切れ落ちた川の岩場に2カ所ほどロープが張ってあり、ロープをしっかり握りしめて、慎重に岩場を進む。高所恐怖症クラブ会員の私は、なるべく下を見ないように素早く通過した。2カ所目のロープ場から先は、斜面が大規模に崩壊しており、川辺までかなりの高さを慎重に下る。その後の登山道は、山登りというよりは、沢登りといった状態で、何度も渡河を繰り返しながら、ごく最近移動したと思われる巨大な岩(インディージョーンズに出てくる巨大な丸い岩にそっくり)を避けながらの登りとなる。以前はもっと登りやすい登山道が整備されていたそうだが、一昨年の洪水でほとんど登山道が流されてしまったそうだ。そのせいで、所々に残る赤ペンキの登山道の誘導を信用して登っていくと道がとぎれている場所が多く、その場でのルートの判断が要求される。今回は、山のベテランの方々のお尻を付いていったので事なきを得たが、1人なら絶対迷っていたであろう。同じ道南地区のメンバーが八月に偵察に訪れていて、ワイルドさは予想していたが、このワイルドさは予想以上である。沢をしばらく登り続け、やがて大きく右折して山肌に続く急坂を登る。曲がり角には沢山の赤リボンが付いているが、下を見て歩いていると思わずまっすぐに、進んでしまいそうで要注意である。しばらく、笹に囲まれた登りを進むと、雄鉾岳の急峻な大岸壁が見えてくる。いくら迂回するとはいえ、あの急峻な岩隗の頂上に立てるのだろうかと、少々不安がよぎる。 岩隗の下の水場で、これからの急峻な登りに備えて休息をとる。水場は、きちんと汚染されないようにパイプが設置してあり、安心して水を補給出来る。

 これから最大の難所である大岸壁への挑戦となる。水場から大岸壁直下までは、急な枯れ沢の登りとなり、両手両足をフル活動させての登りである。足場も悪く、バラバラと岩が足元から崩れ落ちるたびに「クラーク!」の声が飛びかう。急な登りでにわかに息が荒くなり、汗も噴き出してくる。ようやく登り切って大岸壁の直下までたどり着くが、この急な枯れ沢の下りを考えると、かなり帰りが不安である。大岸壁の下は、かなり細い登山道が岸壁を避けるように上下しながら付けられている。かなり歩きにくいが、高度感があまり感じられないため、さほど恐くはない。このあたりから、右足の大腿四頭筋の付け根に違和感を感じ始めた。以前天塩岳でも大腿四頭筋が攣ったことがあり、悪い予感が頭をよぎる。右足をかばいながらいよいよ噂の難関ルンゼに差しかかる。かなり狭い岩の間を手足を使い、必死に登っていく。急な部分は完全にロープに頼らなければならない場所もあり、冷や汗を垂らしながら登っていくが、ここも下る事を思うとさらに不安がよぎる。ルンゼの途中で右足に痛みが走り、とうとう大腿四頭筋が攣ってしまった。途中の岩場で休息をとりながらマッサージを繰り返すが、なかなか回復しない。後からルンゼを登ってきた高校の大先輩でもあるNさんからバンテリンを借用して、ようやく何とか歩けるように回復したが、今度は右足をかばったために左の大腿四頭筋が攣り、あえなく第1のルンゼを登り切った窪地でダウン。一緒にしんがりを努めていたのりさんに先に行ってくれるように御願いし、しばらく小休止して、足の回復を待つ。10分ほど両足のマッサージを続けた結果、何とか歩けるようになり、第2のルンゼを登り、ようやく海見平へたどり着く。頂上へ続く道には他のメンバーの長い列が遠くに見えている。心配して様子を見ながら待っていてくれたのりさんとNさんに大きく手を振って無事なことを告げ、頂上への最後の登りをゆっくりと登り切り、少し遅れての頂上到着となった。

頂上は意外に広く、30人のメンバーが思い思いの所に陣取り、山頂ビールで盛り上がっていたり、早速山頂ラーメンの調理にとりかかっているメンバーで賑やかな山頂となっていた。山頂で全員で記念写真を取りる。頂上からは、渡島半島を挟んで噴火湾、日本海の両方が見渡せ、快晴の天気と相まって最高の景色を堪能することが出来た。

30分ほどゆっくりと景色を楽しんだ後、いよいよ下山となる。頂上で、ひと口ビールを飲んだせいか、足は嘘のように回復してしまった。恐怖のルンゼの下りは場所によって本当にロープ頼りで、ずるずるとお腹をすりながら、慎重な下りとなる。大岸壁下の枯れ沢の下りも予想のとおり足元が悪く、登りに増して「クラーク!!」の声が響き渡る。水場下の下りも登った記憶のないような場所の連続で、ルートを探しながらの下山となり、登りの所要時間とあまり変わらない時間となってしまった。
これだけ険しいワイルドな登山は始めてで、たぶん1人なら途中で確実に引き返していたと思われる。また、私以外は体調を崩したり、怪我をしたりするメンバーが居なかったのはさすが日頃鍛えている北海道の山MLのメンバーだけはあるとしみじみ感心してしまった。
 下山後、おぼこ荘で汗を流し、休憩室で解散式を行って、それぞれの帰途につく。

 


2003.10.05 雄鉾岳再訪

いつものメンバー  Kさん、サクラさんの3人で再訪しました。登山道は、二年前に比べて、落ち着きを取り戻していますが、相変わらず、河原は不明瞭な部分が多いのですが、要所要所にはピンクテープが取り付けられていました。
ただ、分岐で新しいテープが複数の方向を示している場所もあり、迷いやすいという意味では、依然と同じです。

水場上の急登の上のザレ場は、植物が覆い始めていて、浮き石も落ち着いて、「落石!」と叫びながら降りてきたのが嘘のようです。 核心部のルンゼは、下のルンゼはそのままですが、上部のルンゼ(完全にロープだけとなる部分)は、左側に迂回路が出来ていて、難なく通過出来ます。  ただ、相変わらずロープは頼りない状態ですので、要注意です。

そうそう、道南オフミの時、数人が「水没」した「へっつり」にもしっかりと迂回路が付いていましたので、靴を濡らす覚悟があれば、安心して通過出来ます。

いずれにしろ、登山道が落ち着いたとは言え、相変わらず両手両足、体力、そして頭を使わなくてはならない「ワイルド」な山でした。
雄鉾岳GPSデータ 国土地理院の地図には、登山道が記載されていません。
途中から見える雄鉾の崖は何度見ても迫力が.......。
崖を見ると、皆さん心なしか顔が引きつって.............。(^^ゞ
ルンゼ周辺は、一段とワイルドです。
ロープを使って慎重に、慎重に。
何故か山の頂上に小屋が建っている「元小屋山」方面
何もない頂上から西峰を望む


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