函館山寒川コース 791.6メートル
      2001.3.20    
登山口駐車場  8:45
月見台コース入口  9:35
寒川降り口  9:40
寒川海岸 10:20
海岸散策
穴澗コース入口12:00
入江山入口13:20
登山口駐車場13:55

昨年春、HYMLメンバーのSakagさんに誘われたものの、諸般の事情で中止となった函館山の裏側「寒川」へ再度チャレンジすることとなった。 このコースは、函館山の麓から函館山の山頂付近を経由し、再度函館山の裏側の海岸を目指すコースで、目的地は海抜ゼロメートルの海岸という珍しい登山となる。 この登山コース周辺は、夏場には「ダニ」と「マムシ」の巣となっており、ダニとマムシが冬眠中のこの時期に訪れるのがベストと言われている。 もちろん、ダニとマムシが大好きな方は、夏にも訪れることは可能です! 今回の登山は、SakagさんとSakagさんの職場の皆さん5名と、HYMLメンバーのNoriさん、Noriさんの奥様、Yさんの合計10名というにぎやかなパーティとなる。
 朝8時30分に函館山登山口駐車場に集合。 駐車場に行くと、なんとHYMLメンバーTさんも来ている。 話を聞くと、別の知り合いの方と寒川に行く予定とのこと。

 今回、ほとんどのメンバーは長靴で、私とNoriさんの奥様、Yさんが登山靴で、この季節には長靴の方が良いとのことである。  登り始めてすぐ登山道は雪が溶けた後、再び凍り付いた状態となり、かなり滑って危険な状態となる。 今回は、当初最短の鶯谷コース又は汐見山コース経由での登りを予定していたが、登山の初心者もいるということで、相談の結果、一番安全な旧登山道コースを登ることとなる。 登山靴の3人は登り始めてすぐ、念のため軽アイゼンを装着する。

 春の観光シーズンに備えて一般車両の通行が禁止されているこの時期は、あちらこちらで道路工事が行われており、工事中でドロドロとなった旧登山道を快調に登っていく。旧登山道分岐を千畳敷方向に向かい、千畳敷広場手前から月見台コースへと入る。 先にある気象台?の建物の手前が、寒川への降り口となる。 この周辺は、旧日本軍の要塞の地下施設が複雑に入り組んでおり、ブッシュの思わぬ所に深い穴があるので、充分注意が必要となる。 当日は、前夜からの強風が完全に収まっておらず、下の海岸をのぞき込むと白波が立っており、風も強そうである。 少し下まで偵察に出た、SakagさんとNoriさんからは、今日のツアーは中止にしようと提案があったものの、せっかく来たのだから、危険のない所まで行ってみたいとの声も出で、行ける所まで下に降りてみることにした。 

いよいよ、急な下り坂に足を踏み入れる。 浅い沢になっているような急な斜面を笹や木の枝に掴まりながら降りていくと、やがて太いロープが木と木の間に張られている場所に到着する。 ロープは、船に使われていると思われる太い物で、「山屋」が張った物でなく、「船乗り」が張ったと思われるようなところが随所に見受けられる。 Sakagさんの話によると、海が荒れた日の後などは、寒川海岸に「ホヤ」などがうち寄せられるため、地元の漁師の方が頻繁に入っているらしいとのこと。 道の両側には、山ブドウや蔦などが木々に複雑にからみついており、夏にはかなり大変な下りとなることが想像される。 やがて、間近に海岸が見える所までたどり着く。 そこから下に見える海岸の風景は、岩礁に白波が砕け散る豪快な風景で、「東映」の映画の冒頭に出てくる風景にそっくりで、一同しばしその光景に見とれてしまった。 最後の急な下りを降りると、程なく目的地の寒川海岸に到着。 下に降りてみると、波や風もさほどではなく、天気も回復し、春のポカポカした日射しが降り注いでいる。

 寒川集落跡は、海岸に石組みの跡などが残っており、かっての賑やかさが偲ばれる。 最盛期の昭和初期には、12世帯、64人がこの断崖と海に挟まれた狭い場所に暮らしていたとのことである。 海岸にはゴミや、何に使っていたかよくわからない漁具の残骸が、大量に漂着している。 所々にたき火の跡もあるので、やはり人がかなり入っているのだろう。 暖かい日射しを浴びながら、海岸で一休みした後、Sakagさんを先頭にして、穴澗方向へ海岸線を進む。 途中、岩が海岸線まで張り出している所もあり、海水に登山靴を濡らしながら進む所もあった。 「登山」をしていて、川を渡ることは頻繁にあるが、登山靴を海水に濡らして進むのは、初めての経験である。 波が満ち引きするたびに、海岸の玉砂利がぶつかり合って独特の音を立てるのも、今回の「登山」で初めて経験した。
 やがて、急な斜面に穴澗コースへのロープが下がった入り口に到着し、思い思いの昼食を取る。 Noriさんは、HYMLのKumaさんの影響で、「ラーメンミサ」を始め、私は鍋焼きうどんに挑戦である。 ビールで乾杯しした後、12時の出発予定まで、しばらく見ることが出来ないと思われる、荒々しい海岸線の風景を堪能する。


 予定の出発時間となり、細いロープを頼りに、急な斜面をよじ登る。 道は、斜面をほぼ真っ直ぐの登りで、どんどん海岸線が遠くなる。 やがて、斜面が崩落している場所を慎重に通過し旧日本軍の砲台跡にたどり着く。 こんな山の奥地にも要塞が作られていたようで、函館山全体が、「巨大な要塞」であったことが、改めて思い知らされる。 砲台の近くで、一旦荷物をデポし、穴澗神社の見学に向かう。 神社は、最近建て替えられたもののようで、結構新しい。 しかし、近くの石組みは苔むしており、古い歴史を感じさせる。 神社からの登りは、急な斜面を折り返しながらジグザクと登る長い長い登り道が続く。 おそらく、重い砲弾を安全に運搬するために、このような葛折りの道が作られたのであろう。 やがて、柵のような人工物が見え、入江山と千畳敷の分岐点下に到着する。 裏山である函館山の散策ではあったが、小さな冒険に出かけたような、わくわくした5時間を過ごすことが出来た。


 帰りは、谷地頭温泉で汗を流し、アイスクリームなどを食べながら、のんびりとみんなでくつろいだ後、帰途に就く。






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