チセヌプリ チセスキー場コース 1134.5メートル
                                               2005. 02.11  


コースタイム(休憩時間を含む)

登山日 2005年02月11日
【ひとくちメモ】

 登山口は、チセヌプリスキー場のリフト最終地点からとなります。 スキー場の駐車場には充分な駐車スペースと、冬でも快適な
水洗の公衆トイレが設置してあります。
 スキー場までの道路は除雪してありますが、豪雪地帯のため雪がすぐ降り積もり、市内の道路のようには行きませんので、充分
注意して走りましょう。 ちなみに倶知安側からの道路は冬季閉鎖中なので、ニセコ町側からのみ進入となります。

写真提供 yoshioさん、Marさん、Yamauchiさん、fujimotoさん、felさん <(_ _)>


  
 今回は、冬山教室と銘打って、本格的な冬山での知識を身につけるための山行です。 気持ちを引き締めて札幌市内からニセコを目指します。 夏からチセヌプリまで2時間少々の道のりですが、冬は3時間近くかかってしまいます。
 今日はあいにくのお天気で、途中の地吹雪が酷く、所々道路が「ホワイトアウト」状態で、慎重に前を進みます。
 今日の参加者は、21名で既に駐車場で皆さん準備の真っ最中でした。



 夏には訪れているチセヌプリですが、冬期間は初めての訪問です。 今日は加入しているHYML(北海道の山メーリングリスト)の有志で開催される冬山訓練への参加のための訪問です。 通常は、組織化された山岳会等で行われるため、私のような組織に加入していない者には、なかなか受講することが難しい講習ですが、山岳会で講師を務めている程の経験豊かなメンバーの方の骨折りで講習が開催されることとなりました。
 午前9時にチセヌプリ駐車場に集合し、リフト終点まで登り、山頂を目指します。 今日の天候は、「冬山訓練」にはふさわしく時折雪が激しく降り、風も強く気温も氷点下10度近くとなっています。 リフトからは、完全武装で吹雪の中を進みます。



 出発してから、さらに天候は悪化して、ゴーグルに目無し帽を付けていても、顔面が凍り付きそうで、ゴーグルも凍り付いてきます。 途中の斜面で、講師から「弱層テスト」の講習を受けます。 雪の斜面を深く掘り、雪の柱を作って手前に引いた強さや、雪の崩壊のし方で「雪崩の可能性」について判断するものですが、何度か経験を積まないと判断が難しそうです。
 弱層テストの後、雪崩対策のため、ビーコンを持った人と持っていない人を相互に組み合わせ、5名ずつのグループに分けて、さらにチセヌプリ頂上を目指しますが、時折断続的に青空が見え、一瞬視界も回復するものの、更に風が強くなり、顔面が凍り付いていきます。途中から「デポ旗」を刺し、帰り道の方向を確認しながら進みますが、猛烈な風のため山頂まであと200メートル程を残して撤退することにします。


 

  頂上手前の平坦な場所までは、安全を確保するため、スキーのシール付けたまま下ります。 スキーの上級者程シールを付けたままでの滑降は難しいらしく、斜面での転倒者が続出します。 私はスキーが下手なので、快調に滑り降りることが出来ました。 平坦な台地まで滑り降り、シールを外すしていると今まで全く見えていなかったチセヌプリ山頂が見えましたが、また一瞬で吹雪の彼方に消えてしまいました。 




 シールを外した台地からしばらく下った斜面の上部で、今回の講習の最大のメーンイベント「雪洞」を作成することにします。 一見雪庇のように見えて、素人目には危険な場所のように見えるのですが、雪洞を作るには最適な場所で、危険も無いとのことです。 場所の設定も豊かな経験が必要のようです。 
 最初は、ひたすら足元の雪を掘り出して、下の斜面に落としていきます。 最初の雪面から2メートル50センチ近く掘り下げたところで、スパッと切れた目の前の垂直な壁を綺麗に整えます。 



 今度は、垂直な壁を2カ所から同時に穴を開けるように水平に掘り進みます。 降り積もった雪の層は、場所によって堅さが異なり、なかなかの堅さです。 上部の柔らかい雪は比較的簡単に掘り進むことが出来ますが、堅く締まった下の雪はスチール製のスコップでもなかなか掘り進むことが出来ません。 穴を2メートル程堀り進んだところで、今度は穴を広げていき、隣で掘っている穴と連結させ、更に穴の中を広げていきます。 堀り始めてから1時間30分程で今回の参加者21名が狭いながらも中へ入ることが出来る巨大な「雪洞」が完成しました。 掘り出した穴の入り口を、雪のブロックで塞ぎ、全員で肩を寄せ合い少し遅いランチタイムの始まりです。
 雪洞の中は、流石に21名では窮屈でしたが、暖かく気温も0度近くあり、快適でした。 それぞれ持ち寄った昼食で、楽しい昼食の時間を満喫しました。 午後2時に雪洞に別れを告げ、帰りはチセヌプリスキー場の深雪の斜面を一気に駐車場まで滑り降ります。

 天候には恵まれませんでしたが、悪天候下での行動方法や弱層テスト、雪洞の作り方等、普段では味わえないような素晴らしい体験をすることが出来ました。

講師の皆さんや講習会を企画していただいた方に、改めて感謝です。 可能であれば、来年も参加してみたい有意義で素晴らしい講習でした。



今回のチセヌプリへのアプローチGPSトラック
(電波状態が悪く往路のトラックが飛んでいます)





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